1-1.語 その3

定義:Σの部分集合を「言語」という。

 それはさておき。

Σ={a}のとき、Σ={a}と自然数の集合Nは1対1に対応付けられる。

 {a}とは、{ε,a,aa,aaa,…}のことだ。N={0,1,2,3,…}と対応するのは自然。

二つのアルファベットΣ,Γと、ΣからΓへの写像hが与えられたとき、hをΣからΓへの準同型写像に、次のように拡張する。

  • h(ε)=ε
  • h(xa)=h(x)h(a) (x∈Σ,a∈Σ)

 ここで言ってる写像は何の条件もないので、別に1対1でもontoでもないはずだ。アルファベット「日本語のひらがな」「日本語のカタカナ」を考えよう。ひらがな文字の集合からカタカナ語の集合(「日本語のカタカナ」*)への写像hを50音順の対応としよう。つまり、あ→ア,い→イ,…,ん→ン、という写像だ(カタカナ語の集合には「ア」「アノネ」「アンタバカネ」「イ」などを含むが、「アノネ」「アンタバカネ」などの語に写ってくるひらがな文字はないことにする)。

 アルファベットにはεを含まないようだ(暗黙?)が、アルファベット上のすべての語の集合にはεを含むので、Σからの写像に定義を拡張するため「h(ε)=ε」という設定が必要だ。

 もうひとつの拡張設定をひらがな・カタカナの例で考える。
 x∈Σ,a∈Σに対する「xa」とは、「ひらがな語」と「ひらがな」をつなげたモノ、たとえば「あ・い」、「あのね・え」、「きゅうたろうは・ね」などだ。これに対する写像を、後ろから一文字ずつばらして適用するというわけだ。
 例:h(あい)=h(あ)h(い)=「ア」「イ」=「アイ」、h(あのねえ)=h(あのね)h(え)=…=h(あ)h(の)h(ね)h(え)=「アノネエ」
 たしかにこれで文字の集合から語の集合への写像を、語の集合から語の集合への写像に拡張している。

 ここではhをintoな写像として考えたが、べつにintoなものをontoに拡張したわけではない。あいかわらず、「アノネ」「アンタバカネ」などの語に写ってくるひらがなはないかもしれない。いや、まあこの例だと実際にはある(もちろん「あのね」→「アノネ」、「あんたばかね」→「アンタバカネ」)んだけど。
 ローマ字とカナで例を作った方がよかったかな。

One Response to “1-1.語 その3”

  1. 1
    admin

    冒頭の言語の定義によれば、1文字だけの体系でも言語なんだ。まあ、0,1の2文字で通信できるんだから当たり前とも考えられるか。アルファベット{a}だけでも、加算無限個の意味は表せるわけだ。「a」=「yes」、「aa」=「no」、「aaa」=「I love you」、とか意味づけすればいいんだもの。


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